はじめに
サッカーに限らず人を指導するのは難しい。
主体的に動いてほしいと願いつつも、勝手な事をするなとも思う。
言う事と聞いてほしいと思いつつも、言う事を聞くだけになるなと願う。
ほんと面倒くさい。
では、他の指導者がどんな事をしているか、少し垣間見てみようではないか。
タイトル:「教えないスキル」
著者:佐伯夕利子
カテゴリー:指導書
発売日:2021/2/1
どんな本なのか
スペイン、ビジャレアルでのユースチーム指導改革の取り組みを紹介する本である。
こんな方にオススメ
・サッカーを指導する立場の人に。
・ビジネス現場で後輩の指導をしている人に。
・子を持つ親の方に。
オススメとマトリクス
おすすめチャート解説
・難しい話はなく、文章量も多くなく読みやすい。
・具体的な戦術論や技術論は少ない。
・指導者だけに限らず家族やビジネスにも応用できる学びがある。
読者層マトリクス解説
・指導する立場の年齢層向けである。
・コアなサッカーファン以外でも満足できるだろう。
感想など
教える事は難しい。今更だけど。
上手く伝わったと思っていても、相手は違う受け取り方をしていたりする。
そして、大人になって思うのだが、教わる事も難しい。
同じ事を言われて理解できる人とそうでない人がいる。
自分が何を理解して、何を理解していないかさえ分からない時もある。
きっと教える事に正解はないのだろうが、教える事の探求を止めてもいけない。
この本は深く考えさせられ、何かを得たような満足感があるのだが、何を得たのか的確な言葉が見当たらない。 そんな一冊だった。
本書はスペインのビジャレアルでの、ユース年代の指導改革の取り組みを描いて本である。
そもそも、選手指導の評価が高いビジャレアルで、指導改革が必要と感じる心持ちがある事が凄い事だ。
フットボーラーを育てるのではなく人を育てるという考えに至ったからだという事らしい。
ユース年代の指導は特に評価がしずらいと思う。
指導の結果は、目先の勝利だけではないからだ。
指導を受けた子が選手になるのは、何年か後の話だ。
そして、その選手が引退してからの生活は何十年も続いていく。
更には、プロフットボーラーになれない子のほうが多いのだから。
指導者だって、ずっと同じチームにいれるわけでもない。
それでも、指導のあり方を考察し続ける事、そこに意義があるのではないだろうか。
本書には、サッカーに限らずビジネスでも家庭でも、良き学びがあるだろう。
まとめ
個人的には、なかなか興味深い一冊だった。
近年、教えない系の指導とでもいうのだろうか、サッカー以外でもそんな書籍を良く目にする。
放任とは違うのだが、自立を促し、成長につなげる。
分かってはいるけどね、なかなかなのよ、それは。
吉井理人さんの「最高のコーチは、教えない。」も、そんな一冊か。
こちらは、もう少しプロ選手の育成現場に近い内容だが。
気になる方は一読してみては如何だろうか。