はじめに
お子様がサッカーをプレーしている方にとって、少年サッカークラブは身近な存在であろう。
しかし、その運営状態や指導者の生活までは、なかなか知りえないのではないだろうか。
更に、お子様や自分が所属したサッカークラブ以外の詳細は、ほとんど分からないだろう。
今回紹介するのは、そんな少年サッカークラブを追いかけた本である。
タイトル:「サッカーピラミッドの底辺から」
著者:後藤貴浩
カテゴリー:雑学
どんな本なのか
少年サッカークラブの実態を取材を通じて取りまとめた本である。
こんな方にオススメ
・サッカークラブで働きたいと考えている人に。
・お父さんコーチとして少年サッカークラブに携わる人に。
・日本サッカー全体のピラミッド像を知りたい人に。
オススメとマトリクス
おすすめチャート解説
・学術書的な章もあり、やや読み難さを感じる箇所もあるが、読み物としても十分堪能できる。
・記述されている幾つかの少年サッカークラブの物語としても楽しめる。
・少年サッカークラブの運営面が知れる貴重な一冊である。
読者層マトリクス解説
・ある程度高めの年齢層向けといっていいだろう。
・サッカーに深い愛情を注いでいるコアなファンの方に向いていると思う。
感想など
底辺という言葉からネガティブな印象を受けるかもしれないが、本書に描かれている事柄からはネガティブな印象は少ない。
むしろ、土台というか、基礎というか、いずれにせよ支えているといった印象である。
本書では、少年サッカークラブの実態を丹念な取材を通して記している。
少年サッカークラブの運営に携わる様な人は、サッカーに対する情熱を強く持っている事は想像に難くないだろう。
しかし、情熱だけでは立ち行かなくなる事も、なんとなくでも想像できるのではないだろうか。
そして、情熱がありながらも様々な事情で退いた人々がいる事も、ぼんやりと分かっている事だろう。
本書では、様々な少年サッカークラブの例が出てくる。
それぞれのクラブには、それぞれの事情があり、その中でも少年サッカークラブを維持・運営していく、そんな気概を感じる。
読者の中には、将来サッカーに携わって生きていきたいと考えている若者もいる事だろう。
そんな人でも、サッカーに携わりながら生きていく、生活していく事の難しさを本書から感じ取れるはずだ。
ただそれは、決して悲観的な事では無いと思う。
サッカーへの関わり方は、人それぞれ違って良いはずだ。
人生に何を求めるかも、人それぞれのはずだ。
いろんな形があって良い。自分自身に合った関わり方を見つけてほしいし、それが年と共に変化しても良い。
サッカーを好きな気持ち、サッカーを愛する子供たちを見守る気持ち、その思いが底辺にあれば、その人なりのサッカーピラミッドを描ける事だろう。
そんな事を思いながら最後まで読んだ。
まとめ
今回は「サッカーピラミッドの底辺から」を紹介してきた。
学術書的な内容が読み難いと感じた人は、各サッカークラブの実例を物語として読むだけでも良いと思う。
何も、本は全て読まなければいけないという事はない。
あまり公になる事の少ない少年サッカークラブの実情が、丹念に描かれている貴重な本だと思う。
良い本に出合う事が出来た。