ドーハの悲劇の内情を描くノンフィクション「狂気の左サイドバック」

ノンフィクション

はじめに

サッカー好きに限らず、全てのスポーツ好きにとって大きな出来事であった「ドーハの悲劇」
この出来事を奥深く知りたいと思う事はないだろうか。
当事者は、どんな思いで戦っていたのだろうか。
ひとりの選手の目線から、追いかけてみないか。

タイトル:「狂気の左サイドバック」
著者:一志治夫
カテゴリー:ノンフィクション

どんな本なのか

元サッカー日本代表選手都並敏史さんのワールドカップアメリカ大会予選の戦いを描いたノンフィクション作品である。

こんな方にオススメ

・「ドーハの悲劇」当時の状況を深く知りたい人に。
・怪我などして辛い思いをしている人に。
・古くからのサッカーファンに。

オススメとマトリクス

おすすめチャート解説

・読まずにいられなくなる様な熱量をもった作品である。
・ノンフィクションとして楽しめ、尚且つ、この壮絶な物語に心が熱くなる事だろう。
・「ドーハの悲劇」当時を知る人も知らない人も満足できる。

読者層マトリクス解説

・それなりに重厚な内容なので、やや大人向けよりである。
・サッカーの知識有無を問わず、読み応えがあるだろう。

感想など

「狂気の左サイドバック」
タイトルからして秀逸である。
ワールドカップアメリカ大会予選、所謂「ドーハの悲劇」を当時の代表選手であった都並敏史さんを通じて描いている。

改め本書を読んで思ったのは、ワールドカップ予選に向かうまでの準備期間の短さである。
当時の代表監督ハンスオフトが就任してから1年でワールドカップアメリカ大会の一次予選が始まっている。

私の記憶だと、少しずつチームを築き上げていった印象があったのだが、そうでも無かった。

限られた代表選手に絞ってチームを仕上げていったのだと、後から思った。
その事が、バックアップメンバーの手薄な状態となり、本書に描かれている問題となって日本代表チームを悩ます事になる。

左サイドバックの明確なバックアップが不在だったのである。

そして、左サイドバックのレギュラーだった都並敏史さんの怪我により、窮地に陥っていくのである。

それしても、都並さんの怪我との闘いは壮絶で、痛々しい。
今なら、ここまでしないだろうと思う。
まだワールドカップに出たことがない当時の状況と、都並さん本人の日本代表にかける思いだけで行動していたのであろう。

当時テレビ観戦していた私は、都並さんが怪我をしている事は知っていたが、その具合までは分からなかった。
最後の数分でも出してあげれば良いのにと考えていた。呑気なもんである。

甘かったのだ。
観ている私も甘かったのだ。

でも、この「ドーハの悲劇」も必要な過程だったのだと、今になって思える。
アマチュアからプロになる過程として、ワールドカップ出場を勝ち取る過程として、必要だったのだと。

いつの日か「ロストフの14秒」も、ワールドカップ優勝のために必要な過程だったと、言える日が来ることを願っている。

ちなみに、都並敏史さんを知らない世代の方に言うと、彼はここに描かれている様な狂気的なキャラというより、芸人キャラ的な人である。
少なくとも私の印象はそうである。

まとめ

今回は、「ドーハの悲劇」当時を描いたノンフィクション「狂気の左サイドバック」を紹介してきた。
まだワールドカップ出場を果たしていない頃の日本代表チームの事がうかがい知れるのではないだろうか。
ノンフィクション作品と出色の出来栄えである。
是非一読してほしい一冊である。

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