圧倒的熱量で書き綴る「サッカー店長の戦術入門」

技術・戦術

はじめに

サッカーファンは戦術を語るのが好きだ。聞いてもいないのに、あーだこーだとウルサイ輩もいる。
でもね、戦術を語り合うのは面白いのよ。
そんな戦術の語り部によるこの本は、最高のエンターテインメントでもあると思う。

タイトル:「サッカー店長の戦術入門」
著者:龍岡歩
カテゴリー:技術・戦術

どんな本なのか

戦術ブロガー兼戦術分析官である龍岡歩さんによる、戦術史を軸にしたサッカー戦術の魅力を伝える本である。

こんな方にオススメ

・サッカーを語るのが好きな人に。
・深くサッカーを知りたい人に。
・とにかくサッカーを観戦するのが好きな人に。

オススメとマトリクス

おすすめチャート解説

・それなりのボリューム感はあるものの、圧倒的な熱量で一気に読める。
・タイトル通り戦術を楽しむ人にはうってつけである。
・戦術を語りながらも、選手・監督・チームを物語としても楽しめ、満足度が高い。

読者層マトリクス解説

・ある程度の年数サッカーを観てきた人のほうが、より満足度が高いと思う。
・タイトルには「戦術入門」とあるが、ややコアなファンのほうが楽しめるのではないだろうか。

感想など

「戦術入門」という程、易しい本ではない。
分かりやすく説明した図も少なめである。
だが、少しでもサッカーに興味がある人であれば、きっと引き込まれるはずだ。

それは、戦術云々よりも、著者のサッカーに対する熱量だ。
最後は気持ちだというのとたいして変わらない。
信じた者の前にボールは転がってくるのだ。

文面から察するに著者は変人だ。最大の誉め言葉としての変人だ。
ひたすら書き綴ったブログの先に本書がある。
ボールは転がってきたのだ。

そして私は、サッカーを読むエンタメとして本書を楽しんだ。ありがとう。

本書は、過去のサッカー戦術史を軸にしながらも、主に2010年代の戦術解析を中心に取り上げている。
グアルディオラ監督のバルセロナ以降、飛躍的に進化した戦術論を様々な角度から切り込んでいく。

決してシステム論だけにとどまる事なく、様々な監督の哲学を紐解いていく。
ちょっとした謎解きの様な感覚さえある。

本書では、戦術を解説するだけでなく、未来を予測しているのも良い。
予測通りになるならないの問題でなく、考える事が大事だと思う。

個人的に面白いなと思ったのは、リベロの復権である。
可能性はあるだろうなと思った。
私の妄想でしかないのだが、10番タイプも復活する日がくる様な気がしている。
それは、かつての10番タイプとは違うとは思うが。
プラティニやジーコとも違う、ジダンやバッジョとも違う、新時代の10番が生まれるんじゃないかと。 そのポジションは、ひょっとしたらセンターバックかもしれない。
そんな事を考えながら、この本を読み終えた。

まとめ

ひと言でいうと、めちゃくちゃ面白かった。
著者の異常な情熱に圧倒されながらも、どんどん読み進んでいった。
そういえば、著者の龍岡歩さんの半生は「激レアさんと連れてきた」でも紹介されたが、それも面白かった。
何かに没頭する人は、何かを生み出すのだなと思う。

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